パパ読ンデ

光を越え、事象の地平面で逢いましょう

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おまえうまそうだな




アンキロサウルスの赤ちゃんが一匹卵から生まれました。

広い荒野に一人ぼっちで寂しくて、

泣きながら歩いていました。

「おまえ、うまそうだな」

とティラノサウルスが飛びかかろうとすると、

アンキロサウルスはティラノサウルスをお父さんだと思って

足にしがみつきました。

どうしてお父さんなのか理由を尋ねると、

「うまそうって呼んだから、僕の名前ウマソウなんでしょ」

とアンキロサウルスの赤ちゃんは答え、

草を食べていました。

「いっぱい食べてお父さんみたいになる」

と言っているウマソウに他の肉食恐竜が襲いかかろうとすると、

ティラノサウルスは身を挺してウマソウを守り、

傷つきながらも敵を撃退しました。

夜、草を食べて眠ってしまったウマソウを見ながら、

ティラノサウルスは複雑な心境で眠りにつきました。

朝になってみるとウマソウがいません。

心配になったティラノサウルスは辺りをくまなく探しました。

するとウマソウが赤い実を背負って、

「お父さん草が好きじゃないみたいだからこれ食べて。

向こうの山でとってきたんだ」と戻ってきました。

ティラノサウルスが思わず

「そんな遠くまで行って、危ないじゃないか」

と怒ると、ウマソウは泣き出しました。

それを見てうろたえたティラノサウルスは

赤い実を口へ入れ、「ありがとうおいしいよ」言いました。

次の日から毎朝ウマソウは赤い実を採りに行き、

ティラノサウルスはウマソウに体当たりの仕方や吠え方など

色んな事を教えてあげました。

そうして何日も過ごしたある日、

ティラノサウルスは、

もう教える事が無くなったと言ってウマソウに別れを告げます。

「やだやだ、僕お父さんみたいになるんだ」

「お前は俺みたいにはなれない。いや、なっちゃいけないんだ」

それでも泣きじゃくるウマソウにティラノサウルスは条件をだしました。

「あの山まで競争して、勝ったら一緒にいてやる」

との言葉に、ウマソウは全速力で駆け出しました。

お父さんと一緒にいたい一心で、

目標の山だけを見据えて懸命に走りました。

ティラノサウルスに競争する気は初めから無く、

ゆっくりと反対方向へ歩き出しました。

走り続けると、

山の麓にはアンキロサウルスの夫婦がいて、

ウマソウを暖かく迎えています。

「さよなら、ウマソウ」

そう呟いティラノサウルスは赤い実を一つ食べました。




寝る前に長男にこの絵本を読み聞かせました。

擬似とはいえ、父と息子の話ですから、

自分に纏わりついてくる小さな無邪気な存在を、

ティラノサウルスがどんなに大切に思っていたのか、

私も想像に難くありません。

きっと長男も、どこか自分と父に重ね合わせて

このお話を受け止めたのではないかと思います。

布団に横になり、天井を見上げている長男に、

「おやすみ、ウマソウ」と冗談で言ってみたら、

「言うな、言うな、言うな」

と毛布を頭からかぶってしまいました。

微かな嗚咽が毛布の外にも漏れてくるので、

なんだか私まで切ない気持ちになってしまいます。

私もティラノサウルスのように、

息子が幸せになれるのなら

自分の下を去っても仕方が無いと思っています。

今は父である私にべったりですが、

男の子はいずれ、一人で世界を歩む日が来ます。

それは来なければならない、息子にとって必要な行為です。

自分一人で生きてゆく力も自信も無くては、

幸せとは縁遠くなってしまうでしょう。

でも、時々私は思うのです。

息子達が大きくならないで、

可愛いままずっと一緒にいたらいいな、と。

そんな親のエゴが子供のためにならないのは

理性では承知しているのですが、

嬉しい事があって満面の笑みを浮かべている息子に

抱きつかれると、

そのまま手放したくないような気持ちになってしまいます。

逞しくカッコいい男になってほしいと息子を叱咤する反面、

いつまでもパパの可愛い赤ちゃんであってほしい郷愁に誘われ、

私の心は反復横跳びのようにその間を往復しているのです。

でも、ちょっとくらい寂しくても、

それを堪えて子の幸せを願うのが親なのだと思います。

そこを乗り越えてこそ、親として完成してゆくのではないでしょうか。

この絵本の最後で赤い実を食べるティラノサウルスに、

自分の未来の姿を垣間見たように思いました。
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  1. 2010/07/26(月) 23:59:07|
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