パパ読ンデ

光を越え、事象の地平面で逢いましょう

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一滴

甲高い澄んだ響きに、私は覚醒した

月光に満ちた夜半の風呂場に

紺碧の空気を引き締める

一粒の水滴

原初の命を育んだその球体は

立ちすくむ影を放射状に貫いた

星々の共通言語のように

絶対零度の静けさを伴って

湿ったタイルに一つの水音が木霊した

思いもかけぬ福音に

人の孤独は遠ざかり

魂は拠りどころを得る

家族との隔絶

友との距離

まして他人の目に覗くささくれた悪意

それは人が孤立するには充分なエクスキューズ

いびつな繭を紡ぎ出し

その中で必死に防衛する渇えた木乃伊

大地に埋まっているのは夥しい繭の残骸

「愛してくれない」と憤死した孤独

孤は還る、やがて混沌に

心地よい揺らぎに組み込まれ

一つの波長となるだろう

浴槽の残り湯に小さな水滴が還っていった

同心球に広がる一つの水の「ただいま」

夜の静寂が慈母のようにそれを抱留めた
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  1. 2010/11/28(日) 00:08:48|
  2. 自分で書いたお話
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