パパ読ンデ

光を越え、事象の地平面で逢いましょう

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一滴

甲高い澄んだ響きに、私は覚醒した

月光に満ちた夜半の風呂場に

紺碧の空気を引き締める

一粒の水滴

原初の命を育んだその球体は

立ちすくむ影を放射状に貫いた

星々の共通言語のように

絶対零度の静けさを伴って

湿ったタイルに一つの水音が木霊した

思いもかけぬ福音に

人の孤独は遠ざかり

魂は拠りどころを得る

家族との隔絶

友との距離

まして他人の目に覗くささくれた悪意

それは人が孤立するには充分なエクスキューズ

いびつな繭を紡ぎ出し

その中で必死に防衛する渇えた木乃伊

大地に埋まっているのは夥しい繭の残骸

「愛してくれない」と憤死した孤独

孤は還る、やがて混沌に

心地よい揺らぎに組み込まれ

一つの波長となるだろう

浴槽の残り湯に小さな水滴が還っていった

同心球に広がる一つの水の「ただいま」

夜の静寂が慈母のようにそれを抱留めた
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  1. 2010/11/28(日) 00:08:48|
  2. 自分で書いたお話
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害虫大作戦

以前にも読んで頂いた方がいらっしゃるかもしれませんが、

少し書き直してみたのでよろしければ読んでやってください。







 ある雨上がりの雲が緑色にぼんやり光る夜、雨にぬれた庭のアジサイの花の下でナメクジとゲジとクモが顔を合わせました。
「あー、久しぶりだねゲジヤ、クモスケ」とナメクジが言い「ようナメタ!」「こんばんは」とゲジとクモが答えました。

「このごろ雨が多くて、ジメジメしていて気持ちがいいねー」ナメタがのんびり空を見上げながら言うと
「俺は、かぜひいて寝込んでたよ」と不機嫌そうなゲジヤ。
「僕はこのあいだの大雨で、クモの巣が破れてしまって、大変でしたよ」クモスケが真面目に答えました。

「そりゃ大変だったね。僕もこの前、雨がふってうれしくて人間の家の窓を散歩していたら、そこの女の子に塩をかけられて、僕のからだの水分が出て行っちゃって、あやうくナメクジの塩辛になるところだったよ」

「ナメタもか!俺もこのまえ石の下で寝ていたら、急に石がなくなって何かと思ったら、女の子が石を持ち上げていて、俺を見てキモチワルーイとか言って石を落としてきて、あやうく煎餅にされるとこだった」

「ゲジヤさん、僕もこのまえ自分の巣にいたら、女の子がやってきて、巣に火をつけられちゃって、クモの黒焼きになりそうでしたよ」

「そりゃひどいな。ひとの家に火をつけたのか。とんでもない奴だな!」とゲジヤは驚きました。
「だいたい人間って奴らは、俺たちのことを見ると気持ちが悪い、だのこの世界からいなくなってほしい、だのとんでもないこと言うよねー」ナメタが人間を非難すると、

「そうですよ。僕たちは人間のために生きているんじゃなくて、ただ自分のため、家族のために一生懸命生食べ物を捕まえようとしているだけなのに、僕のクモの巣が体にくっついて気持ちが悪いからといって人間は壊すんです。僕等はクモの巣が無くちゃ、食べ物がとれなくて生きていけませんよ。」とクモスケも愚痴りだしました。
「全く人間共は勝手だ! 自分さえ良ければ他の生き物はどうでもいいのか? この世界に生きているのはお前等だけじゃないんだぞ! 俺たちの命を何だと思ってんだ。・・・・・・くそー、なんとかこらしめてやりたいな。オイ、俺たちで何とか人間をギャフンと言わせてやりたくねえか」ゲジヤの提案に
「いいね、やろうよ」「・・・・面白そうです。やりましょう」と二人も乗り気です。
「でも、真正面から攻めていっても体の大きさがちがうから、僕たちがやられてしまうだけだね。なんかいいこらしめる方法はないかな?」ナメタが冷静に分析しました。
「うーん、どうしたら・・・・・・」

「あっそれなら、ゴキブリじいさんに相談してみたらどうでしょう。ゴキブリじいさんは歳をとっている分、いろんな経験もあるだろうし、ご先祖様は人間が地球に誕生するずっと前から地球で暮らしていると、このまえ自慢していましたよ。」とクモスケが四つの手を打ち鳴らしながら言いました。

「へーそうなんだ。よし、とりあえずみんなで、ゴキブリじいさんの家に行ってみよう!」とナメタが言うと
「ゴキブリじいさんの家は、あそこの人間の家の台所の裏だったな。よし、行こうぜ!」とゲジヤが走り出しました

「ちょっとまってよー。僕はそんなに速く走れないよー」とナメタがあわてて追いかけました。

ナメタに合わせて移動したので、三匹がゴキブリじいさんの家に着いたのは、もうお日様が顔を出しそうな朝でした。

ゴキブリじいさんの家に着くと、じいさんの孫が入り口にでてきました。
「誰ですか、こんな遅くに。もう寝るところですよ。」と不機嫌そうです。

「悪いね遅くに。ちょっとじいさんに相談したいことがあってね。じいさんはいるかい?」とゲジヤが訊くと
「ちょっとまってくださいよ。」とじいさんの孫は奥へ行き、しばらくして「どうぞ。」と中へ通してくれました。

三匹は暗くて狭い通路を這って、ゴキブリじいさんの部屋へ向かいました。じいさんの部屋は人間の家の給湯器の裏の壁の中にあたる所で、とても温かでジメッとしていました。

「どうしたんだ、こんな遅くに私に用とは。何か大切な話なのか?」
「いえいえ、どうもすみません。僕たち三匹で話し合って、人間をこらしめることにしたんですが、いい方法が思い浮かばなくて、ゴキブリじいさんの知恵をお借りしにきたんです。」ナメタが機嫌をとりながら答えました。

「・・・・・・そうか。そんなことを考えたのか。・・・若いのう。実はワシも昔、同じようなことを考えたもんだ。そして若さにまかせて人間を襲ったりした。でもな、人間の反撃にあい、多くの仲間を失った。その中にはワシの弟もいた」それを聞いて、三匹は唾を飲み込みました。

「弟を亡くして、ワシの人間に対する憎しみの気持ちも冷めていった。・・・弟を亡くすなら、あんな下らないことをするのではなかったと、大いに反省した。それからは自分の家族を大切にすることだけを考えて生きてきた。おかげで家族は100匹以上に増えた。今、ワシはとても幸せだ。」

「お前たちの気持ちは解る。・・・だが、悪い事は言わん、そんな無謀なことはやめておけ。それよりも、奥さんと子供を大切にして、幸せな家庭を築き上げろ。怒りに任せて身を滅ぼすような愚かな奴は、ワシの弟だけで充分だ」
「オイオイ、忘れたのかいじいさん。俺は去年女房に逃げられて、ナメタはまだ独り者だ。家族がいるのはクモスケだけだよ。おいクモスケどうする、やめとくか?」

「いえ、家を焼かれた恨みもあるし、僕も男です。一度やると言ったからには必ずやります。妻と子供もきっとわかってくれます」クモスケはキッパリと言いました。

「これは僕たちの誇りをかけた戦いなんです。この地球を自分たちだけのものと思っている人間に、一泡吹かせてやりたいんです。お願いしますじいさんの力を貸してください」ナメタが立ち上がって頭をくにゃりと下げて、真剣に頼みました。

「・・・・・・どうしてもやるのか?・・・本当にやるのか?どうなってもワシは知らんぞ」

「解りました」
「ああ」
「はい」
三匹は同時に答えました。
それを確認し、じいさんは少し考えこんでいるようで、触角をピクピク震わせています。

「・・・そうか、それなら昔人間と戦った時に有効だった戦術を教えてやろう。・・・・・・それは、いないいないバアだ」
「いないいないバア?」
「そうだ。出たと思ったら隠れ、いなくなったと思えば現れる、それを繰り返せば人間はどこにいるか分からない我々に恐れをなし、精神的にダメージを与える事ができる。名づけて『ピークアブー作戦』だ!」
「ピークアブーって、なんだ?」ゲジヤは首をかしげました。
「知らんのか? エゲレスでは、いないいないバアのことをそう呼ぶんだ。お前たち遊んでばっかりいないで、ちょっとは勉強せえ」
「えへへへ・・・・」勉強が嫌いな三匹はお互いに顔を見合わせて、笑って誤魔化しました。
「まあいい。行動こそ知恵の源とワシの親父もよく言っていた。・・・だがワシが人間を襲撃した時、金切り声をあげる人間に逆襲されて・・・弟は神経毒をかけられてもだえ苦しみながら死んだ。くれぐれも気をつけろ。攻撃をしかけると相手の怒りを買い、しっぺ返しを食らうこともある。」
「わかったよ。気をつける。いいこと教えてくれてありがとうじいさん。」ゲジヤが礼を言いました。

そして三匹はゴキブリじいさんの家を後にしました。
「今日はもう遅いから、人間をやっつけるのは明日にしようよ。」ナメタが提案すると、他の二匹も賛成して、一旦それぞれの家に帰ったのでした。

夕方になって青い星が薄明るい空に光りだすと、三匹はまたアジサイの花の下に集まりました。

「やあ、よく寝れたかい?」ナメタが言うと
「俺は緊張してちっとも寝れなかったぜ」ゲジヤは意外と神経質なのです。
「クモスケは奥さんに話してきたの?」

「はい。頑張ってきてねと応援してくれました。上の子は『パパどこ行くのー』と泣いていましたが、下の子はまだ赤ちゃんなので、よく分からなかったようです」
「そっかーいいなー、やさしい奥さんで。俺の昔の女房だったら、『あっそ』て言うぐらいのもんだよ」ゲジヤが羨ましがりました。

「まあまあ、ゲジヨさんだって結構優しいところもあったじゃない。ゲジヤが無愛想だから、それに対して怒っているところもあったし。昔の事はもういいじゃない。忘れなよ。それより今日これからどうするかが問題でしょ」とナメタがたしなめました。

「・・・・・・そうだな。つまらないこと言って済まん。・・・まず、人間の家に入らなきゃいけないが、これは俺が昔入ったことのある、家の壁の隙間から入ればいいんじゃないか?そしたら人間の家に入れるぞ」ゲジヤは過去を顧みることを一旦脇に置いて、これからの事に集中しました。

「それからどうしよう?」
「攻撃の方法は、ゴキブリじいさんの言っていたようにピークアブーで行くとして、ナメタさんは動きがあまり速くないし、僕も走るのは得意じゃないから、ここはゲジヤさんに人間を引き付けてもらって、その間に僕たちが罠を仕掛けるというのはどうでしょうか?」クモスケの提案に
「いいね、そうしよう」「走りなら俺に任せろ]二人とも異存は無いようです。
「僕は家で考えてみたんですけど、子供の歯ブラシに僕の尻から出る糸をまきつけてやろうと思っているんです」

「・・・それじゃあ僕は、床を僕の体のヌメヌメで、ヌルヌルにしてやろうかな」とナメタが言うと、それを聞いてゲジヤはあせりました。

「俺は体から武器が出ないなー。足が取れてもそれが動いているぐらいしか特技がないぞ」
「ゲジヤさんはその速い足をいかして、予想もしないところからいきなり飛び出て驚かすんですよ。そして、その間に僕とナメタさんが罠を仕掛ける。どうですか?」クモスケがまだピークアブー作戦を理解していないゲジヤに説明します。

「おー、いいねー。よし、じゃあ俺は人間を直接攻撃するぜ。どんな顔するか今から楽しみだ」ゲジヤはやる気が湧いてきました。
そして三匹は、ゲジヤの案内で家の北側にあるという壁の隙間に、勇んで向かいました。

ナメタにスピードをあわせて隙間に向かったので、もう辺りは夜の帳がすっかり降りていました。

壁のパックリ開いた隙間から家の中に入ってみると、そこは洗面所のシンクの下でした。
まだ家の奥の方では、人間が活動している気配があり、明かりがついていてかん高い喋り声もきこえます。

「よし、じゃあ僕は床をヌルヌルにしてくるよ」
「僕はそこの洗面台にある歯ブラシに糸をまきつけてきます」
「じゃ俺は、壁に張り付いて、人間がきたら派手に走るかな」

三匹は自分の持ち場に行き、それぞれ用意をして人間を待ちました。
しばらくして「歯をみがいてトイレにいきなさーい。」という声と「はーい」と言う声がすると女の子が一人、洗面所にやってきました。

そして歯ブラシを手にもつと「キャー、ママー、歯ブラシにクモの糸がついてるよー」と不愉快そうに叫びました。「そんなの気にしないで、糸を取って磨けばいいでしょ」と奥から声がします。

仕方なく女の子は、糸をとって石鹸で歯ブラシをよく洗ってから、歯ブラシを恐る恐る口に入れて歯をみがきました。

みがき終わると、洗面所の隣にあるトイレに向かいました。
そしてトイレの前で、ヌルヌルしたものに足を滑らせて転びました。

「何なのこれー。もう、さっきお風呂に入ったばっかりなのに」とブツブツ言っています。

ちょうどその時、ゲジヤが女の子の視界を横切りました。
「ギャーゲジゲジ! 気持ち悪ーい。もう、こんな虫だらけの古い家ヤダ!」
そういって女の子は中を見回しながらトイレに入りました。その女の子の言葉が、カーテンの陰に隠れていたゲジヤの闘争心に火をつけたようです。
「何が気持ち悪いだ! 足が四本しかないお前の方が気持ち悪いわ。こうなったらお前に、俺の素敵な足をよーく見せてやる!」
ゲジヤは天井まで一気に駆け上ると、そこでタイミングを待ち、
ちょっと高くて怖かったのですが、思い切ってトイレから出てきた女の子の頭めがけて飛び降りました。

ゲジヤが見事に着地して、頭からおでこを通って鼻にきたときに「ママー、ママー、助けてー」女の子は悲鳴をあげ、
その声を聞きつけて女の子の母親が少し顔を出しましたが、
すぐに奥に引っ込んでしまいました

泣きそうな声で助けを呼ぶのを聞いて、ゲジヤは「ざまあみろ!」と嬉しくなり、首の下に降りて手の方へ走り回りました。
その時、「逃げろ。危ない!」と洗面台と壁の間からナメタの声がしました。
「早くこっちに!」クモスケも言っています。

見るとゲジヤの背後に、母親がハエタタキと殺虫スプレーを持って、
憎しみに燃えた目をして立っています。
ゲジヤは慌てて仲間の方へ走りました。

母親は一歩踏み出し、すぐそばまで迫っています。
その手に持っているのは、2メートル先までとどく強力殺虫スプレーです。
ゲジヤが走りながら振り返って見ると、母親がスプレーを構えたところでした。

「もうだめか! 俺の人生、あんまりいい事無かったな」ゲジヤがそう思った時、バサバサと黒い物が飛んできて、母親の目の前を横切り、そこら中を飛び回りました。

母親は、スプレーをその黒い物にむけて発射しましたが、動きが速くてなかなか当たりません。
そうしている内に、ゲジヤは洗面台の下に滑り込み、仲間と一緒に出口に急ぎました。
家の外に出ると三匹はやっと一息つきました。
「やったぜ」
「大成功!」
「スカッとしました」
三匹は笑いながら手をとって喜び合いました。

「でも、あの黒い虫はなんだったんだろう?」ナメタが不思議そうに言いました。
するとクモスケが「あれはゴキブリでしたよ。きっとゴキブリじいさんが助けにきてくれたんじゃないですか」
「そうか! じゃあ、じいさんの所に行って礼をしなくちゃな」とゲジヤが言いました。
そして、ゴキブリじいさんの家に三匹が着くと、また無愛想にじいさんの孫が出てきて「どうぞ」と中へ入れてくれました。

じいさんの部屋に三匹がつくと
「さっきはありがとう。助かったよ」ゲジヤが珍しくお礼を言いました。
「ん、何のことだ?今日は部屋から一歩も出てないぞ」
「でもさっき、ゴキブリが飛んできて、人間のスプレーからゲジヤを助けたんだよ」

「いや、ワシは知らんな。・・・・・・もしかして、お前たちの話を孫のゴキゾウにしたな。・・・ゴキゾウに訊いてみろ」

三匹が後ろを振り返ると、じいさんの孫が照れくさそうに、下を向いていました。
三匹はゴキゾウに近づいて周りを取囲みました、
「君だったの?」
「・・・いや、俺も人間にはいつも嫌な目に遭わされてるから」
ゴキゾウはうつむいて触角を振り回して照れました。

そして四匹はがっちりと握手をしました。
四匹の心も深い信頼で結ばれたようです。

「さあさあ、そういうことなら成功のお祝いに乾杯しよう!」
ゴキブリじいさんが、とっておきの人間の飲み残しからコツコツ集めたビールをペットボトルの蓋に入れて持って来ました。
「あの世の仲間や弟も、きっと喜んでいるよ。ありがとう。乾杯!」
じいさんが床にビールをぶちまけ、
その場にいるもの皆で争うようにそれを舐めました。



  1. 2009/11/20(金) 01:26:03|
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お野菜食べてね

 かくちゃんはやさしい男の子です。でも、野菜が嫌いで、お母さんを困らせています。
かくちゃんのお母さんは、かくちゃんになんとか野菜を食べてもらおうと、一所懸命です。子供が好きそうな、野菜のお料理を作っているのですが、かくちゃんは野菜をちっとも食べません。
 食べられる野菜といったら、きゅうりぐらいです。今日の朝ごはんでも、食べた野菜はきゅうりだけでした。
「かくちゃん、トマトとレタスも食べて」
とお母さんが言いました。でもかくちゃんは、聞こえないふりをして、焼いた鮭の切り身を取って食べました。
「お味噌汁のネギはちょっとだけだから、食べてよ」
でも、きざんだネギとワカメを残して、汁だけを飲んでいます。
「お父さん、何とか言ってやってよ」
 お母さんがぷりぷりして言いました。
「コラかくのしん、だめじゃないか」
お父さんは、お母さんに言われて仕方なく、かくちゃんを叱りました。
「ねえ、お父さん。なんでお魚には頭があるのと、ないのがいるの?」
「え、頭?」
かくちゃんは叱られるのがいやなので、話を違う事に、変えようとしました。
突然質問されたので、お父さんは叱るのを忘れて、魚の体を思い出そうとしました。
「魚はみんな、頭があるぞ」
「今日の魚みたいに、ペラペラした魚には頭がないよ?」
 お父さんは少し笑いながらうなずきました。
「そういうことか。これは海で泳いでいる魚を、小さく切ってペラペラにしたものだからな。本当の鮭は大きくて、まるごと一匹食べきれないんだ。だから切って小さくして、少しずつ売っているんだ」
「ふーん、そうなんだ」
わかったような、よくわからないような、モヤモヤした気持ちだったので、もっと聞いてみました。
「この卵焼きの卵は、ニワトリが産むんだよね?」
「そうだよ」
「じゃあ、このウィンナーはどこでとれるの?」
大好きなウィンナーを箸でつかんで、お父さんの前に突き出しました。
 お父さんは、得意そうな顔をして、ウィンナーを見ました。
「ウィンナーはね、こういう形でどこかを歩いていたり、土から生えてるんじゃなくて、豚のお肉を細かくして、それを小さい袋みたいな物に入れて作ってあるものなんだ。豚は知ってるだろ?たまに、ニワトリも入ってるウィンナーもあるけどな」
「えっ、ニワトリが入ってるの?」
「そうだよ、かくが好きなからあげのニワトリ」
「からあげってニワトリなの?」
「ニワトリを、細かく切って、粉をつけて、油で揚げるんだよ」
かくちゃんはショックを受けました。
保育園で、いつもエサをあげているニワトリのチャコを、思い出したからです。
かくちゃんは、自分がチャコを細かく切って、粉をつけて、油で揚げるところを考えてみましたが、そんなひどいこと、とてもできそうにありません。
「じゃあ僕、もうウィンナーもから揚げも食べない」
「どうして?」
「だって、チャコだってニワトリだもん。ニワトリはかわいいし、おいしい卵産んでくれるから、食べちゃだめなんだ」
「チャコって、保育園で飼ってる、あのニワトリか」
お父さんは、保育園にある小さい手作りの鳥小屋で、一羽だけ飼われているニワトリを思い出しました。かくちゃんが、ニワトリにエサをあげている姿を想像すると、無理に「食べろ」とも言えないので、もう何も言いませんでした。
「じゃあ、ニワトリの代わりにお野菜食べようか?」
お母さんが代わりに、つくり笑顔でかくちゃんを見ながら、さそってみました。
「うーん・・・やだ」
一応考えるふりをして、お母さんにちょっと期待させてから、断りました。
 
 保育園のお外遊びの時間に、かくちゃんはチャコの鳥小屋の前に、しゃがんでいました。        
いつものように、園庭のはしっこに生えている草を採って、チャコにあげていました。小さな白い花のさいているハコベという草がお気に入りのようなので、かくちゃんはハコベを金網ごしにあげました。
くちばしでリズミカルにハコベを引っ張って、ちぎるように食べていきます。
「ななもあーげよ」
かくちゃんと同じクラスのななみちゃんもやってきて、葉っぱをあげました。
ななみちゃんも同じ年中さんなのに、いつもお姉さんぶって、三月生まれのかくちゃんに、色々教えてあげようとしてきます。
いつもは、教えようとしてくるのをうるさがっているのですが、今日はななみちゃんに聞いてみました。
「ねえ、ウィンナーとからあげが、ニワトリでできてるって知ってた?」
「からあげは、ニワトリって知ってたけど、ウィンナーは知らない」
「僕もう、からあげもウィンナーも食べたくないよ。こんなにかわいいニワトリだって知ってて、よく食べられるね」
顔を上げて、ななみちゃんの横顔を見ましたが、ななみちゃんは別に悪い事したなんて思ってないようでした。
「チャコとは別のニワトリだし、からあげを見ても、ニワトリと同じだと思えないよ。動かないし、形もちがうじゃない。もしお肉が生きて動いていたら、ななも食べたくないよ」
「ニワトリは卵を産んで、僕たちに食べさせてくれる、やさしい生き物なんだよ?」
 なんとかななみちゃんの気持ちを変えさせようと、がんばりました。
「かくのしんくん、ニワトリは人間にあげるために、卵を産んでるんじゃないのよ。卵から赤ちゃんが生まれるの。だから、赤ちゃんを産んでるんだよ」
ななみちゃんは立ち上がって、いつものようにお姉さんぶりました。
「じゃあ僕は、チャコの赤ちゃんを食べたって言う事?」
「そう。みんなでチャコの卵の卵焼き食べたんだから。」
 かくちゃんは「あの卵焼きはおいしかったけど、食べなきゃよかった。チャコの赤ちゃんを食べたなんて、とても悪い事をしてしまった」と思いながら、しゃがんだまま、じっとチャコを見つめていました。

今日は、お父さんが仕事で遅くなって、お母さんと二人きりで晩ご飯です。
晩ご飯の手巻き寿司は、色々な具が用意されていて、とてもおいしそうです。
「僕、卵食べないよ」
「えっ、どうして、卵すきでしょ?」
「卵はね、赤ちゃんだから。お母さんの赤ちゃん、食べられたらいやだもん」
お母さんのお腹を指しました。     
お母さんのお腹には、かくちゃんの弟か妹がいて、お腹が少しふくらんでいます。
「そっか、かくちゃんはやさしいね」お母さんは、かくちゃんを抱きしめていい子いい子、と頭をなでました。
「でもね、卵は栄養があるから食べてほしいな。ニワトリの卵だけが卵なんじゃないよ。そのお米だって種なんだから、植物の卵みたいなものなんだよ。土に埋めておけば、赤ちゃんの葉っぱがでてくるの。このトマトとかきゅうりもそうなの。トマトだってきゅうりだって、中に種が入っているから、土に埋めれば、赤ちゃんの葉っぱがでてくるんじゃないかな?」
 かくちゃんは、自分で巻いた形の悪い手巻き寿司を開けてみると、中にはマグロときゅうりが入っていました。
「僕たちはいつも、生きているものを食べて、生きているんだね。」
「そうそう。だから食べ物に感謝しましょうね」
かくちゃんは、黙ってお皿にのっている、もとは生きていたものたちを見つめました。えびが海を泳いでいるところや、レタスの葉っぱが土から生えているところを想像しました。
食べ物が生きているところを考えていたら、今日の晩ご飯は少ししか食べられませんでした。もちろん野菜もきゅうりしか食べませんでした。

次の日の朝ごはんの時、お父さんに、牛乳は牛のおっぱいからでたもので、生き物ではないことを聞きました。
かくちゃんは安心して、牛乳をコップに二杯ゴクゴク飲んで、保育園に行きました。
保育園についてみると、チャコの鳥小屋のあたりに、子供がいっぱい集まっていました。かくちゃんもそこへ行ってみました。
「どうしたのななみちゃん?」
「チャコがね、死んだの。こうたくんのお父さんが、昨日の夜散歩してたんだって。そしたらチャコの声がして見にきたら、犬みたいなのが小屋から出て行くの、見たんだって」
かくちゃんは、前にいる子供たちを押しのけて、チャコの小屋の前に出ました。
チャコは鳥小屋の中で倒れていました。くちばしが開いていましたが、首から血が出ていて、ぜんぜん動きませんでした。
小屋の金網が破かれていて、チャコをおそった動物は、そこを破って入ったようでした。
「かわいそう」
「こわーい」
「やだー血が出てる」
子供たちの声が、周りから聞こえてきました。
かくちゃんは何も言わずにジッとチャコを見ていました。
 しばらくすると、少し太った女性の園長先生がやってきて、みんなに優しく言いました。
「チャコは昨日の夜、きつねか野犬のような生き物にかまれて、死んでしまいました。こうたくんのお父さんがここに来たから、逃げて行きましたが、チャコを食べに来たんだと思います」
「こわいよー」
「僕たちも食べられちゃう」
子供たちは騒ぎました。
「大丈夫。そういう生き物は夜しか来ないし、来たら園長先生がやっつけてあげるから」
園長先生は勇ましい顔をしましたが、すぐに優しい顔にもどりました。
「でもね、その生き物だってきっとお腹がすいてしょうがないから、保育園に来たんだよ。ご飯を食べないと自分が死んでしまうから、チャコを食べようとしたの。だから許してあげてね」
 園長先生はみんなの顔を見回しました。
「みんなでチャコのお墓を造ってあげようか?」
「つくる!」
「僕がやる!」
 子供たちが鳥小屋の横の土を、掘ろうとし時、
「やだ!チャコを埋めちゃだめ」
かくちゃんが、大声で言いました。
「どうしてだめかな?チャコとお別れしたくないからかな?」
園長先生は、やさしくかくちゃんの顔を、のぞきこみました。
「チャコを土に埋めても、葉っぱは出ないよ。そんなのもったいないよ。チャコは死んじゃったんだから、みんなで食べてあげないと、かわいそうだよ」
かくちゃんは涙をこらえながら、必死でそう言いました。
「食べる方がかわいそうだろ」
「チャコのこと食べれるわけないよ」
周りにいた子供たちは、あきれたように怒りました。
 園長先生はしばらく、みんなの言う事に、耳をかたむけていました。
「そうだね、チャコが死んで悲しいのに、なかなか食べる気にはなれないよね。でも、チャコの死を無駄にしたくないかくちゃんの気持ちも、わかるなあ」
「かくちゃん、土の中にはいろんな虫がいるの。大きい虫や小さい虫がいっぱいいてチャコを土に埋めるとその虫たちがおいしいおいしいって食べるの。それで虫たちはお腹いっぱいになって喜ぶんだよ。だからね、お墓に埋めてももったいないことないんだよ。チャコは虫たちの役に立つんだよ」
園長先生の言葉を聞いて、かくちゃんは「チャコが死んで土に埋められても無駄になるんじゃなくて、虫たちの食べ物になるのか」と考えました。
そうしたら、なぜか涙があふれ出てきました。
泣きながら、園長先生に向かってうなずきました。かくちゃんは、チャコを食べなくてよくなった事に、少しホッとしていました。
それからみんなで、スコップを使って穴を掘って、チャコをお墓に埋めました。

 晩ご飯の時に、お父さんとお母さんに、今日の事を話しました。
「そうか、それは残念だな。お父さん今度チャコに会って、かくがニワトリのお肉を食べられるようにしてくださいって、お願いしようと思っていたのにな」
 お父さんは、さびしそうに保育園の方に顔を向けました。
「僕やっぱり、からあげ食べるよ。おいしく食べれば、きっとニワトリも喜んでくれるもん」
かくちゃんが元気にそう言うと、それを聞いてお母さんが、
「お野菜も、おいしく食べてもらえれば、きっと喜んでくれるよ」
この機会に野菜を食べさせようとして、とびきりの笑顔で言いました。
「うーん・・・」
 かくちゃんはしばらく考えていましたが、突然、サラダに入っているトマトとピーマンの肉詰めを手に持ち、肉詰めの肉だけお皿に置いて、玄関から庭に出て行きました。
お母さんが、追いかけて庭に出てみると、かくちゃんはトマトとピーマンを、庭の土に埋めていました。
「何してるのよ、かくちゃん?」
お母さんは、食事の途中に食べ物を手に持って外へ出て行った息子を、あきれたように見ています。
「野菜を土に埋めておけば、虫たちが喜んで食べてくれるし、もしかしたら葉っぱが出てきて、野菜が生えるかもしれないよ!」
しゃがみながら、お母さんを振り返りました。
ちょっとしっかりした顔つきになった、かくちゃんの笑顔に、お母さんもつられて微笑みました。
            
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  1. 2009/10/23(金) 23:52:37|
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補助輪とは何か

「なあ、左の補助輪さんよ。あんたこんな事してて楽しいか?」

「何言ってるんですか。右補助輪さん。これが僕たちの仕事

なんだから楽しいに決まってるじゃないですか」

「俺はこんなガキのお守りはしたくないな。キレイな姿

で店頭に飾られて、ずっとそのままでいたかったぜ」

「でも、僕たちがいないと圭介君は転んで怪我をして、泣いてしまいますよ」

「そんなこと俺の知ったこっちゃねえよ。いいんだよ怪我すれば。

何回も転んで痛い目見た方が運転の上達も早いんじゃねえか」

「圭介君はまだ五歳で、昨日生まれて初めて自転車に跨ったんですから、

いきなり転んで怪我なんかしたら、

きっともう自転車に、乗りたくなくなるんじゃないんですかね。

この子はちょっと気が弱そうですし、そんな事になったらきっと、

僕たちは暗い物置の隅で、ほこりを被って過ごす事になりますよ」

「いいじゃねえか、その方が楽で。ちょっとぐらい汚れたって

別にかまやしねえよ」

「さっきはキレイがいいって言ってたくせに・・・」

「とにかくよう、俺はこんなつまらない事をして一生を過ごすのは真っ平だぜ。

もっとみんなに注目されて、カッコいい事がしてえんだよ、解る?」

「・・・・・・まあ、確かに地味な存在ですね僕たち。

それに、圭介君がある程度自転車を乗りこなせるようになったら、

お役ご免になっちゃいますしね」

「だろ? 見ろよ、あそこの泣叫んでる女の子。

ヘルメットして、肘と膝にサポーターまでして

お母さんに怒られながらも、補助輪なしで乗る練習をしてるぜ。

あんなに運動神経が悪そうな子でも、もう補助輪取るってんだから、

俺たちだってすぐに捨てられるのは目に見えてるだろ。

いったいどうして俺は補助輪なんて物に生まれてきたんだ!

もっとマシな物はいっぱいあるのに・・・・・・何でだ」

「・・・・・・僕も捨てられるのは嫌です。

でも、僕たちにはこれしかできないんだし、

今やるべきことをしっかりやりましょうよ。

圭介君の為になってるんですから、きっと意義のある仕事ですよ」

「そうかな、うわイテッ!・・・・・・くそ、圭介の奴、

補助輪あっても転ぶじゃねえか!これでも意義があるってのかよ」

「ありますよ。さっき左側にだって、二回転んだじゃないですか。

でも、僕たちがいなかったらもっと何回も転んで、

しかも転倒の衝撃も大きかったでしょうね。

全ての転倒を防ぐ事はできないけど、

僕たちがいるから転んでも大した事にならなくて、

圭介君に安全と安心を与えてる事には、間違いないですよ」

「けどよう・・・・・・お前は納得してるのか?

補助輪として活躍するのは、ほんの僅かの時間で、

・・・・その後はゴミとして永遠に生きなきゃならないって事に」

「永遠は大げさですよ。

世の中リサイクルってこともあるんですから。

それに、・・・・リサイクルされなくても何百年か経てば分解されて

土になるんじゃないですかね」

「お前は何百年も、自分の体が少しずつ削られていって平気なのか?

俺はそんな拷問のような末路は絶対に嫌だ!

それにリサイクルされるって言う事は、

ドロドロに熱く溶かされる鍋に放り込まれるんだぞ。

そしたらもう、自分て言う存在じゃなくなって、

他の物と混ざりあって一つの物体になっちまう。

俺が俺じゃなくなるなんて、怖いじゃねえかよ」

「そうですねえ、それは怖いですね。

そうしたらどうなるんでしょうね?

僕と右補助輪さんが溶け合って、一つになる事もあるかも。

・・・・・・・考えてみると、僕たちはもしかして元々一つの物で、

そこから分かれて、二つの補助輪になったのかもしれませんね。

いわば、僕たちって兄弟みたいなものですね。

そう思えば、溶けて一つになるのも悪くはない気がしてきました。

もしかして、素敵な女の子の補助輪とも一つになれるかもしれませんし・・・」

「・・・・・・お前、見かけによらずいやらしい奴だなあ。

みんな溶けちまったら、男も女もないだろ。

補助輪も雨傘もコタツも、なんでも一緒になるんだから・・・・・・。

俺は次は何になろうかな。

・・・やっぱりバイクがいいな、速くてレースに出るようなやつ。

それで世界チャンピオンのマシンになれたら最高だな」

「へー、そんな夢があったんですか。いいですね世界チャンピオン。

・・・・・・でも、考えてみてください。

世界チャンピオンを乗せるのと、圭介君を支えるのはどう違うのか?

結局誰かの為に僕たちは必要で、

その誰かに喜んでもらえれば、僕はそれでいいと思うんですけども」

「なんでこのガキと世界チャンプが一緒なんだよ!

ぜんぜん世間の注目度が違うだろ!カッコよくねえし」

「そう? カッコいいですよ右補助輪さんは。

ガラガラ大きな音だして、

転んだり擦ったりされて、傷だらけになりながらも

圭介君を支えているんですから。

もっと自分に自信を持ってくださいよ」

「その通りです。私だってあなた達がいなかったら、

もっと傷だらけでボロボロになっていたでしょう。

あなた達は決して、無意味な存在ではありません。

私にとっては、お姫様を守る素敵な騎士のようです」

「自転車さん・・・・・・」

「例えあなたたちが役目を終えたとしても、

決して私は、あなたたちを忘れる事はないでしょう。

私にとって社会デビューのこの時期に、

お二方から頂いた愛を、一生大切にするつもりです。

幸い、圭介君には弟がいて、

私がキレイに乗られていれば、弟にお下がりすることになって、

あなたたちの出番が又やってきます。

それまでは退屈かもしれませんが、何年か経てば

私たちは、きっと再会することになるでしょう。

だから、これからも私を支えて頂けませんでしょうか?」

「そうか!圭介はおとなしいガキだし、

俺たちが今しっかり支えていれば、

自転車さんもキレイなままでいられるかもしれねえな。

・・・・そうすりゃ俺たちにもまだチャンスはある。

グダグダ考えるのは、役目が終わってからにしよう。

おい左の!泣いてる場合じゃねえ。

俺たちが今やるべきことは、自転車さんを補助することだ。

しっかりやれよ!」

「はい!わかりました」



  1. 2009/10/12(月) 00:12:44|
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別れ

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本当に行っちゃうの・・・・・・。

そりゃ私も少しは悪かったけど、・・・離婚だなんて、

そんなに意地になることないじゃない。

あなた、昔からそうだった。

高校のころのあなたは、私の憧れの先輩だった。

一途に自分の記録を塗り替える事だけ考えて、

走り高跳びに没頭しているあなたは輝いて見えたわ。

バレンタインに、私があなたを校舎の屋上に呼び出して

告白した事覚えてる?

私だって寒さと緊張で手が震えていたけど、

チョコを受け取るあなたの手まであんなに震えて、

あなた下ばかり向いていて

私の顔一回も見なかったわね。

しかも、告白に何の返事もしないで。

おせっかいな私の友達がいなかったら、

私たち付き合うことも出来なかった。

自分の結婚式であなたは

緊張をほぐそうとして飲みすぎて泥酔したわね。

挙句に、呆れた私の父が「結婚は取りやめだ」って言ったら、

思いっきりぶん殴ったわよね。

父の鼻あの時から曲がったままよ。

新婚旅行に行った上海で、

「現地の人と同じ物を食べないと旅行に来た意味がない」

って言って屋台の料理を食べて食中毒になって

二人で入院したわね。

あの時の病院で冷たくあしらわれたのはなんでかしら?

中国人はいつも怒っていてみんな不機嫌に見えたわね。

三人の子供にも恵まれて幸せだった。

そりゃあなたは男の子が欲しかったでしょうけど、

子供の性別なんてどっちでもいいじゃない。

反抗期の不良息子と殴り合いのケンカをするのが、

そういえばあなたの夢だったっけ。

女の子の股間を見るのが恥ずかしい

からって、一度もオムツを替えてくれなかったね。

恥ずかしいと思うほうが

余計に恥ずかしい人のような気がするけど・・・。

そんな娘たちも大きくなって、

孫も一人生まれたって言うのに、

どうして離婚だなんて言い出したの?

これから二人で過ごす終の棲家だって、

先月新築したばっかりでピカピカよ。

冬は暖房が要らないくらい暖かくて、夏はとっても涼しくて、

トイレだって勝手に蓋が開く最新式。

以前住んでたボットン便所の借家とは雲泥の差じゃない。

一体何が気に入らないの?

ねえ・・・・・・



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「男が座ってション便なんかできるか!」




だって・・・しょうがないじゃない。

洋式の便器は立って小便されると、

まわりに汚い水が飛び散るんですもの。

立っても座ってもどっちでもいいじゃないそんな事。

まったく、あなたって意地っ張りなんだから・・・・・・・。

  1. 2009/10/07(水) 19:30:49|
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